Q.学校での福祉教育はどのくらい時間が必要ですか?

 学校において福祉教育を位置づける場合には、学校教育目標との整合性を図ることが大切です。学校で福祉教育を推進するときの視点は、「全教科、全領域」といわれてきました。これは、さきにも述べたように、福祉教育の基本は、生命(いのち)を大切にする人間教育そのものである、というとらえ方です。この視点からすれば、学校教育のなかのさまざまな場面が、福祉教育の視点をもって進められていくことが大切です。

 ただし、学校において、具体的な時間数として考えた場合、おもに「総合的な学習の時間」を活用することが考えられます。その時間数・単位数は、小学校では、3年生以上から週あたり3時間程度、中学校では、週あたり2〜4時間程度、高等学校では、卒業までに3〜6単位が配当されます。

 周知のとおり、「総合的な学習の時間」は、国際理解、環境、情報、福祉・健康、人権・平和、また各教科との関連など、課題は盛りだくさんですから、福祉教育だけに時間を確保することはむずかしいと思われます。むしろ、大切なのは、それらの領域を縦割りに考えるのではなく、共通項を大事にして横断的に位置づけていくことです。

 福祉教育は、「ともに生きる力を育む」ことを大切にした教育実践ですが、このことは、国際理解、環境、情報などのなかにも含まれています。逆に、福祉教育のなかにも、それらに共通する要素はたくさんあるのです。社会福祉を狭くとらえ、なにか特別な介護技術や福祉的な知識だけを教えようとするのでは、新しい教科になってしまいます。

 「総合的な学習の時間」が創設された意図からすれば、それぞれの時間配分にこだわるのではなく、地域や学校子どもたちの実態に応じ、学校やクラスが創意工夫を生かして、特色ある活動を行うことがのぞましいでしょう。

 ただし、ともに生きる力は、単発的なイベントを数回実施すれば身につくというものではありません。ある時期に集中して行うことよりも、継続的にじっくりと取り組むことが基本です。そのためには、1年間のなかだけで考えるのではなく、3年間、6年間という、長い時間のなかで積み上げていくという視点が大事です。

 また、地域における教育との連携も重要な視点です。学校の授業時間内では、福祉に対して児童生徒が興味・関心をもつプログラム、また、地域のニーズを探るプログラムなどを実施します。つまり、「種まき」をすることになります。その学校内での取り組みから、学校外の地域において、ボランティア活動をはじめ、さまざまな社会資源や関係団体とつながりをもてるような流れをつくり出すことが大切です。福祉教育は、学校だけが取り組むものではないのです。