Q.テーマはどのようにして選ぶ?

 福祉は、「人生」や「くらし」そのものを扱う幅広い分野です。そういう意味では、テーマはいたるところにあり、限定して考える必要はありません。むしろ、「福祉」ということばに対する、福祉教育実践者自身のもつ限定的なイメージを、ぬぐいさることの方が大事かもしれません。

 障害や高齢などにかかわる、いかにも福祉的な素材を取り上げなくても、福祉について学ぶことはいくらでも可能なはずです。自分自身の内側を見つめてみること、自分とまわりの人々とのつながりやかかわりを考えてみること、これまでの人生をふりかえったり、これからの人生に思いをはせてみること…。こんな作業のなかにも福祉について考えるきっかけは山のように見つかるはずです。

 「社会福祉課題」から学習を発想すると、なかなか具体的なとっかかりが見えにくくても、「ふだんのくらし」からスタートすると、豊かな学習課題が見えてくるのではないでしょうか。取り立てて、高齢者の問題、障害者の問題を扱うことよりも、学習者、あるいは実践者自身がくらす地域のなかから、テーマを見つけてくることができれば好ましいといえるでしょう。

 こうした、地域のなかからテーマを探してくる作業も、実践者がやらなくてはならないものではありません。テーマを探すこと自体が、社会福祉問題を見つめるよい機会となります。実践者が支援することで、小学生くらいの子どもにも可能な実践となりえます。

 さらに、地域からテーマを見つけてくる場合、「さあ、福祉の学習のテーマを見つけてくる場合、「さあ、福祉の学習のテーマを地域から探してこよう」という問いの立て方ではうまくいきません。これは、プログラムのデザインにかかわることでもありますが、まず、自分の生活を見つめることから始める必要があります。学習者にとって身近であるということは、たんに地域の社会福祉問題を扱うということではありません。学習者本人の生活実態にせまるものであるかどうかです。その意味で、学習者が、自分自身の生活を見つめる作業をする必要があります。

 とくに、近年の子どもを取り巻く状況には看過できないものがあり、子どもにとっては、社会福祉問題にむきあう前に、まず自分の身近な問題にむきあう必然性があるといえます。子どものプライバシーには最大限配慮しながらも、こどもが自分自身の問題にむきあう機会をつくることは重要なことです。なぜなら、どんなに子どもが福祉問題に取り組んでも、自分自身とのかかわりにおいて考えなければ、その真の解決にならないからです。

 とくに、自分の身のまわりに大きな問題がないという子どもでも、自分自身の生活を基盤として問題とかかわることが、真の課題解決能力を育むことになります。そのためには、福祉に関する問題を扱うときに、個別的なアプローチができるようなカリキュラム、またはプログラムを工夫する必要があります。