Q.学校における福祉教育実践とは?

 学校のなかで福祉教育を進めるときには、「全教科、全領域」で実施することがのぞましいとされてきました。それは、福祉教育を大きくとらえると、まさに教育と社会福祉がめざす内容が共通のものになるからです。

  具体的なものとして、それぞれの学校教育目標を思い出してみてください。それらの内容は、社会福祉像とも重なることが多々あります。思いやりのある子、人権尊重の精神などといった教育目標は、社会福祉のそれと重なる部分があります。それゆえに、あらゆる教育活動をとおして伝えていくことが大切であるという考え方が中心でした。その意味からも、学校教育目標と福祉教育目標の位置づけを考えてみるとよいでしょう。

 今回、総合的な学習の時間に関する例示のなかに福祉・健康があることから、総合的な学習の時間と福祉教育の関連が問われています。しかし、そこで総合的な学習のひとつの分野としてだけ福祉教育をとらえてしまうと、非常に狭いものになってしまいます。ですから、基本は広く福祉教育を位置づけてみることが必要です。

 そのうえで、総合的な学習の時間のなかで、どのように福祉教育を実践するのがよいか考えてみましょう。福祉教育の内容を限定して、社会福祉に関する専門的な知識や技術を教える場だけにしてしまうと、それ自体がひとつの新しい教科になってしまいます。そうなってしまうと、教える側にとっても学ぶ側にとっても負担感が強くなるだけです。この時間での福祉は、専門教育ではないのですから、むしろ広く福祉をとらえることが大切です。さまざまな出会いやふれあいをとおして「気づく」ことから始まります。

 ただし、それは、一方的に生徒の興味・関心にまかせるだけでは十分ではありません。今日の社会のなかでは、社会福祉は、まだ非日常的な側面があります。むしろ、生徒の興味・関心を広げるための働きがけが必要です。興味・関心がないから取り上げないということは避けたいものです。

 しかし、また逆に、一方的に押し付けても拒否反応がでます。強制的な福祉体験やボランティア活動が、その後の関心や活動にマイナスに働くことも多いのです。そうならないためのひとつの工夫として、最初から高齢や障害といった部分からはいるだけでなく、地域や生活といった切り口から広げていくことも有効です。内発的な動機をどう高めていくことができるか、福祉教育の導入の工夫が必要なところです。