Q.何度も同じ体験をして意味があるの?

 「小学校ですでに体験したことのある車いす体験を中学でもすることになった」「以前に福祉施設を訪問し、交流をしているのに、今回もまたおなじ施設に訪問することになった」・・・こんなことが、よく起こっているのではないでしょうか。各学年や教育主体の間で、福祉教育が体系的につくられているわけではないので、こういったことはひんぱんにあるはずです。幼いころから成人にいたるまで、連続した流れのなかで福祉教育を受けることができれば理想的ですが、かならずしもそうなっていないのが現状でしょう。

 では体験の中身がおなじであった場合、それは無意味なのでしょうか。答えは「NO!」です。「体験」自体が同一であっても、体験をする主体(学習者)の状況が異なっていたり、体験を取り巻く条件や環境が異なっていれば、そこから学び取ることは、まったく新たであり得ます。

 学習者の年齢が異なれば、以前の体験から経過した年数による成長や経験の積み重ねがあります。当然、以前とは違った気づきや学びが生まれるはずです。また、おなじ体験も、ともに体験する友達が違えば、体験のなかで起こることも、そこから学ぶことも異なってくるはずです。

 体験学習においては、「体験」そのものよりも、「体験からいかに学ぶか」ということが重要なのです。体験学習の循環過程がらせん状に何回もくり返されることで、学びは深まり広がるのです。むしろ、継続的におなじ体験を重ねることによって見えてくるものもあるかもしれません。「いま、ここ」で起こっていることを大事にすることによって、体験はいくらでもきらめきを増し、学びをもたらすはずです。

 体験学習というのは、「体験する」ことを意味するのではなく、「体験のなかから学ぶ」のだということを忘れないでください。